🔍 獣医学コラム

獣医師と医師の違いとは?仕事内容・試験・年収を徹底比較【2024年版】

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はじめに:「動物のお医者さん」と「人のお医者さん」は何が違う?

「獣医師と医師って、対象が動物か人かの違いだけでしょ?」

こう思っている方は少なくないかもしれません。しかし実際には、資格の取得過程、仕事の幅広さ、収入構造など、両者には大きな違いがあります。

獣医学部への進学を考えている方、獣医師国家試験の受験を控えている方、あるいは「そもそも獣医師ってどんな仕事?」と疑問を持っている方に向けて、この記事では仕事内容・国家試験・年収の3つの観点から獣医師と医師を徹底比較していきます。


1. 仕事内容の違い:対象動物の多さが獣医師の最大の特徴

医師の仕事内容

医師の仕事は、大きく分けて臨床医研究医の2つに分類されます。

  • 臨床医:病院やクリニックで患者(ヒト)の診察・治療を行う
  • 研究医:大学や研究機関で医学研究に従事する

臨床医はさらに内科・外科・小児科・精神科など多くの診療科に分かれており、専門性が非常に高いのが特徴です。対象はあくまでヒト1種であり、その分、一つの臓器・疾患を深く掘り下げて学ぶことができます。

獣医師の仕事内容

一方、獣医師の仕事は驚くほど多岐にわたります。対象となる動物種が多いことに加え、活躍するフィールドも幅広いのが特徴です。

分野具体的な仕事内容
小動物臨床犬・猫などペットの診察・治療・手術
大動物臨床牛・馬・豚などの診療、繁殖管理
公衆衛生食肉検査、と畜検査、食品衛生監視
公務員家畜保健衛生所での防疫業務、動物愛護行政
製薬・企業動物用医薬品の開発、安全性試験
研究・教育大学教員、研究機関での基礎・応用研究
水族館・動物園展示動物の健康管理

特に重要なのは、獣医師は「公衆衛生」の分野で社会を支えているという点です。スーパーに並ぶ食肉の安全性は、獣医師による食肉検査によって守られています。また、鳥インフルエンザやCSF(豚熱)などの家畜伝染病の防疫も獣医師の重要な役割です。

医師が「ヒトの健康を守る」専門家であるのに対し、獣医師は「動物の健康」と「人の健康」の両方を守る存在といえるでしょう。近年では「One Health(ワンヘルス)」という、ヒト・動物・環境の健康を一体的にとらえる概念が世界的に注目されており、獣医師の役割はますます重要になっています。


2. 国家試験の違い:出題範囲の広さが獣医師国家試験の特徴

受験までの道のり

項目医師獣医師
大学の修業年限6年制6年制
大学数(国内)82校(2024年時点)17校(国公立11校+私立6校)
入学定員(全体)約9,400名/年約1,000名/年
臨床実習臨床実習(クリクラ)あり参加型臨床実習あり

どちらも6年制の課程を修了する必要がありますが、獣医学部は全国にわずか17校しかなく、入学の競争率は非常に高いです。

国家試験の比較

項目医師国家試験獣医師国家試験
実施時期2月(年1回)2月(年1回)
試験日数2日間2日間
問題数400問330問(必須50問+学説160問+実地120問)
出題形式マークシート(5択中心)マークシート(A型・B型等)
合格率(2024年)約92%約78%
出題範囲ヒトの解剖・生理・病理・薬理・臨床など解剖・生理・病理・薬理・微生物・寄生虫・公衆衛生・伝染病学・毒性学・臨床など

注目すべきは合格率の違いです。医師国家試験の合格率が約92%であるのに対し、獣医師国家試験は約78%前後で推移しており、決して「受かりやすい試験」ではありません。

その理由の一つが出題範囲の広さです。獣医師国家試験では、犬・猫・牛・馬・豚・鶏といった複数の動物種の解剖学・内科学・外科学を横断的に学ぶ必要があるほか、公衆衛生学、食品衛生学、毒性学など、医師国家試験にはない科目も含まれます。

さらに、微生物学や寄生虫学の出題ウエイトも高く、人獣共通感染症(ズーノーシス)に関する知識も求められます。

「範囲は広いが、一つひとつの深さは浅い」と言われることもありますが、浅く広い知識を確実に定着させることこそが、獣医師国家試験合格の最大のポイントです。


3. 年収の違い:初期キャリアでは差が開きやすい

平均年収の比較

項目医師獣医師
平均年収(全体)約1,400万円約650万円
初任給(勤務医/勤務獣医師)約400〜600万円約300〜400万円
開業後の年収約1,500〜3,000万円以上約600〜1,500万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」等を参考にした概算値です。

正直なところ、年収面では医師の方が高い傾向にあります。特に勤務医の段階から獣医師との差は大きく、開業後はさらに差が広がるケースも少なくありません。

獣医師の年収が低めになる理由

  • 診療報酬制度がない:医師は国が定めた診療報酬制度のもとで報酬が保障されますが、動物病院の診療費は自由診療であり、病院ごとに料金設定が異なります。
  • ペット保険の普及率がまだ低い:飼い主の経済的負担が直接的に獣医療の売上に影響します。
  • 小規模経営が多い:動物病院は院長1人+スタッフ数名という小規模な形態が多く、大きな売上を生みにくい構造です。

ただし、分野によって収入は大きく変わる

獣医師の年収は分野によって差があります。

  • 公務員獣医師:安定した給与体系(地方公務員の場合、地域手当や初任給調整手当が付くことも)
  • 製薬企業勤務:大手企業であれば年収700〜1,000万円以上も可能
  • 開業獣医師:立地や経営手腕によっては年収1,000万円を超えるケースも

「獣医師=年収が低い」と一概には言えません。キャリアの選択肢を正しく知ることが大切です。


まとめ:獣医師と医師、それぞれの魅力

比較項目医師獣医師
対象ヒト1種多数の動物種
仕事の幅臨床・研究が中心臨床・公衆衛生・防疫・研究・行政など
国家試験の範囲ヒトに特化し深い多種にわたり広い
合格率約92%約78%
平均年収約1,400万円約650万円

医師は「ヒトの命を深く専門的に診る」ことに特化したプロフェッショナルです。

一方、獣医師は「動物の命も人の健康も守る、社会の縁の下の力持ち」です。

年収だけを見れば医師に軍配が上がりますが、獣医師にしかできない仕事、獣医師だからこそ社会に貢献できる領域は確実に存在します。どちらが優れているかではなく、自分が何をしたいかで選ぶべきでしょう。


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